『パラレルな世紀への跳躍』 太田光・著

爆笑問題太田光氏の単独エッセイ。



テレビ等でもこの人の視点や発言には以前からすごく興味があって、爆笑問題で出している対談ものなんかは何冊か立ち読みしたが、太田氏のエッセイは初めて。やはり、基本的にこの人は文学・哲学が好きな人なんだなと思う。哲学好きであるから科学好きでもある。よって、それが論調の屋台骨となっている。ひとつのトピックにつき3〜4ページと言うボリュームなので非常に読みやすい。その分、わりと浅く軽い感じではある。トピックによっては、僕の好きなエッセイのひとつ平野啓一郎の「文明の憂鬱」と着眼点には似た部分も感じた。ただ、そもそも一つのトピックのボリュームも全く違うものであるが、その平野氏のあり得ないまでの資料や考察の深さには、やはり本作が以って非なるものなのであろうと感じる。ちなみに対談集、爆笑問題の「文学のススメ」(新潮文庫)に平野啓一郎は登場している。(他、花村萬月氏や児玉清氏との対談も面白かった。太田氏は終始ふざけているが。笑)



やはり要所々々で自らの生業である「お笑い・漫才」への強いこだわり、愛を感じさせる部分には好感が持てる。



このエッセイ集にはいくつかの超短編小説的なものも盛り込まれており、彼が影響を受けたであろう文学、作家への憧れも垣間見れる。彼の好きな太宰治宮沢賢治ヴォネガットの影響、多少感じるかな?是非、そのうち短編集や長編小説も読んでみたいものである。



さらっと軽く読めるのでファンの方は是非ご一読あれ。




パラレルな世紀への跳躍 (集英社文庫) 太田光・著

★★★☆☆