『負けるのは美しく』 児玉 清・著

アタック25でお馴染み、俳優・児玉清さんのエッセイ。

児玉さんの俳優人生にまつわるエピソードが綴られている。


その生い立ちや波乱に満ちたと言える俳優人生を知り、テレビから受け取る印象とは随分違うイメージを持った。まず驚かされるのは、読んでいて俳優としての貪欲さをあまり感じないと言う事。

しかし、それとは裏腹に人間としての尊厳・精神に関しては何か高貴なものを感じさせる。

そして、自ら「あまのじゃく」と自負する通り、人と同じであるという事に反発する力の強い人である。本編後半、お若くして天に召された娘さんのクダリは非常に感慨深いものがある。


それにしても、本当に本、文学が好きな人だ。

児玉さんに興味ある方には『寝ても覚めても本の虫』 『BS2 週間ブックレビュー』も併せておすすめしたい。外国文学の新刊を原文で読んでしまう程の児玉さんの驚異的な読書量、文学に対する熱い想いの一端が伺える。



『負けるのは美しく』 (集英社文庫 )

児玉 清・著

★★★★☆